死亡(自殺含む)の補償
死亡事故 (自殺含む)
被災者が亡くなってしまった場合には、遺族の数によって、遺族(補償)年金、遺族特別年金のほか、遺族特別支給金が一時金として支払われます。
この場合の支給金額をまとめたのが下記の表です。また、これらの支給とは別に、葬祭料も支払われます。
労基署は、障害(補償)給付支給請求があると、その給付額の決定の過程で被災者が抱える後遺障害について、1級〜14級のいずれの後遺障害等級に該当するか審査をします。その結果、後遺障害ありと判断されれば、等級に応じて給付金が支払われます。
遺族数 | 遺族(補償)年金 | 遺族特別支給金(一時金) | 遺族特別年金 |
---|---|---|---|
1人 | 給付基礎日額の153日分(ただし、その遺族が55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻の場合は給付基礎日額の175日分) | 300万円 | 算定基礎日額の153日分(ただし、その遺族が55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻の場合は算定基礎日額の175日分) |
2人 | 給付基礎日額の201日分 | 算定基礎日額の201日分 | |
3人 | 〃 223日分 | 〃 223日分 | |
4人以上 | 〃 245日分 | 〃 245日分 |
引用元 https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-7.pdf
労災保険上の遺族(受給資格者)は?
労災遺族年金の受給資格者となる遺族は、次の順位で定められています。
- ① 妻または60歳以上か一定障害の夫
- ② 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定障害の子
- ③ 60歳以上か一定障害の父母
- ④ 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定障害の孫
- ⑤ 60歳以上か一定障害の祖父母
- ⑥ 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか60歳以上または一定障害の兄弟姉妹
- ⑦ 55歳以上60歳未満の夫
- ⑧ 55歳以上60歳未満の父母
- ⑨ 55歳以上60歳未満の祖父母
- ⑩ 55歳以上60歳未満の兄弟姉妹
※ 配偶者には、事実上婚姻関係と同様の事情にあった方(内縁の妻、内縁の夫)も含まれます。
※ 最先順位者が死亡や再婚などで受給権を失うと、その次の順位の者が受給権者となります(転給)。
葬祭料
死亡事故の場合には31万5000円+給付基礎日額30日分又は給付基礎日額60日分の高い方の金額が、葬祭料として葬祭を行うにふさわしい遺族に支給されます。
過労死について
労災事件の最も悲惨な態様として、過労死(過労自殺を含む)があります。過労死というのは、
・業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
・業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺
のことを言います。
脳内出血(脳出血)、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症のことをいいます。
心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む。)、解離性大動脈瘤のことをいいます。
過労死は基本的には予見の難しい突然死であるため、遺族としても精神的に大きな動揺があり、「労災かもしれない」ということにも思いが至らない場合も多いといえます。
しかし、長時間労働をしていた労働者の突然死は、労災である(「業務起因性がある」、「業務と発症の因果関係がある」等と表現します。)と可能性が思っている以上に高いといえます。
長時間労働と過労死の関係性
過労死の原因は、主として長時間労働にあると考えられています。具体的には、時間外・休日労働(1週間当たり休憩時間を除き40時間を超える労働)時間が、月45時間を超えた期間が長くなるほど健康障害のリスクは高まります。これを踏まえ、厚生労働省は、労働者が過労死発症前に一定時間を超える長時間労働をしていた場合には、業務と発症との関連性が強いと評価できるとしています。具体的には、以下の通りです。
< 過労死ライン >
① 発症前1ヶ月間に概ね月100時間を超える労働
② 発症前2〜6ヶ月間にわたり1ヶ月あたり概ね月80時間を超える労働
また、労働時間自体は過労死ラインに達していなくても、上司からの度を超した叱責やパワハラが続いていたなどの事情や、短期間の過重労働についても、労災と認められるかどうかという判断に影響を与えます。
過労死の労災認定要件
過労死が労災と認定される要件は、
- 1 異常な出来事
- 2 短期間の過重業務
- 3 長期間の荷重業務
の3つにまとめられます。
異常な出来事とは、通常業務では発生しないような、① 精神的負荷(極度の緊張、興奮、恐怖、驚愕等の強度の精神的負荷を引き起こす突発的又は予測困難な異常事態)、② 身体的負荷(緊急に強度の身体的負荷を強いられる突発的又は予測困難な異常事態)、③ 作業環境の変化(急激で著しい作業環境の変化)のことをいいます。
短期間の過重業務とは、発症前概ね1週間の間に、日常業務(通常の所定労働時間内の所定労働業務内容)に比較して特に過重な身体的・精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる仕事をいいます。
長期間の荷重業務とは、発症前1ヶ月の労働時間が概ね100時間超又は発症前2〜6ヶ月の労働時間が概ね月80時間超の場合をいいます。この労働時間に達していない場合であっても、発症前の時間外・休日労働時間が月45時間超となっている場合には、業務起因性が認められる可能性があります。
弁護士法人えそらでは、過労死(過労自殺を含む)についての労災申請のサポート、会社への責任追求(損害賠償)等のサポートを積極的に行なっています。「もしかしたら」と感じている方は、まずは相談してみてください。
Webからの予約をご希望の方は、
下記お問い合わせボタンからご連絡下さい。